シリーズ「フルート三昧」 演奏会後記2

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VOL.12:やっぱり日本人だなぁ

VOL.13:フルート三昧を終えて−志田 浩子

VOL.14:ヴィルトゥオーゾ・フルート

VOL.15:師弟の饗宴

VOL.16:管楽の世界

VOL.17:バッハの息子達 〜フリーデマン〜


−「フルート三昧」後記Vol.12−'98.4/5(Sun.)  (プログラム詳細)

<やっぱり日本人だなぁ>

 本日のプログラムは、1月23日ソロイスツVol.19のプログラムと同一ですが、「フルート三昧」でも、というご要望にお応えしての公演となりました。(↑プログラム参照)。

 今日のお客様方は、最初から日本の曲を目当てにいらした方ばかり。演奏だけでなく私のお話にも敏感に反応して下さいました。曲が終わるごとにため息が漏れ、会場に熱気が充満します。こういう時の本番って演奏者も乗ってくるのですね。音も良くのびます。表現も幾分オーバーになりがち、頭の中は冷静さとの葛藤が繰り広げられます。

 前半のプログラムには、平尾貴四男のソナチネと矢代秋雄の2本のフルートとピアノのためのソナタを演奏しましたが、一般的にはマイナーで変わった響きのするこの曲への評判が良かったのには正直言って驚きでした。いわゆる現代曲に分類されても良いこの曲の中から、日本の情緒を感じ取って頂けたようです。

 当日お話しし損ねたネタを一つ。以前NHKでやっていたのですが、山田耕筰の名前、最初は山田耕だったそうです。晩年にお年を召されて頭が薄くなり、毛が生えるようにと、「ケ」を2つつけて山田耕としたのだそうです。ホントかいな?でもNHKでやってたのだから本当なんだろうなあ。もっとも、その願いは残念ながらかなえられなかったようですが。

当日頂戴したアンケートの一部をご紹介致します。

  • 大変満足しました。矢代秋雄の曲は予期できない展開の連続。こういう曲もあるのかと思いました。2FLならではなのかもしれませんね。(60代 会社役員)

−−−音を楽しんでいただけたご様子、何よりです・・・

  • 夢のように心地の良いひとときでした。日本の曲にフルートがこんなにマッチするとは、素晴らしいの一言です。どの曲も素晴らしく、凄かった。耳慣れた曲は、より心にしんみりと伝わってきました。(50代 主婦)

−−−ありがとうございます。本日のような曲は、確かに違和感がありませんね。自然に演奏できました・・・

  • フルートって、実はエネルギッシュな楽器だったんですね。息づかいの聞こえる間近で聴けたのは貴重な体験でした。(30代 会社員) たのしかったです。(6才 小学生)

−−−親子でお越し下さいましてありがとうございます。お子様にも音楽的な良い経験をして頂きたい、日頃子供の世話で出かけられない方にも楽しんでいただけるのが、この演奏会の趣旨でもあります・・・

貴重なご意見ありがとうございました。

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−「フルート三昧」後記Vol.13−'98.5/31(Sun.)  (プログラム詳細)

 今回の出演者は、Fl.志田さん、Vln.三好さん、Pf.笠井さんの3人です。私上坂は都合によりお休みでしたので志田さんに後記をお願いしましょう。

<フルート三昧を終えて−志田 浩子>

 当日は本当にたくさんのお客様がお見えになり、大変わくわくしながら演奏会が始まりました。
 今回は当シリーズで初めてヴァイオリンが入り、「本物のヴァイオリンを目の前で見るのは初めて」というご意見が多かった中、私自身はその豊かな表現力や音色、また、その奏法からもとても勉強になり、ためになった演奏会でした。

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当日頂戴したアンケートの一部をご紹介致します。

  • Fl,Vln,Pfという違う楽器が調和しているのがとても良かったです。(30代 OL)

−−−異種楽器との調和もアンサンブルの魅力ですね・・・

  • 解説者のお話がとても面白く興味が持てて、とても良かったです。(50代 主婦)

−−−このお話で、知らない曲でも違和感無く音楽に入っていくことが出来ますね。これも音楽の一部です・・・

  • 特にJ.S.バッハのトリオが、心に残るフレーズ、綺麗な音色でとても良かったです。(20代 学生)

−−−バッハがフリードリヒ大王に会えた喜びが曲から伝わってくるようですね・・・

貴重なご意見ありがとうございました。

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−「フルート三昧」後記Vol.14−'98.7/5(Sun.)  [ プログラム詳細 ]

<ヴィルトゥオーゾ・フルート>

今回のプログラムは、現在の「ベーム式フルート」で知られるテオバルト・ベームと、そのベーム式フルートを改良し「ブリッチャルディ・キー」で知られるジュリオ・ブリッチャルディの特集です。ベートーヴェンが没したときベームは33歳、ブリッチャルディは9歳という時代の人です。シューベルトはその翌年没しました。演奏曲目は以下の4曲です。

  • ベーム:3つの歌曲による二重奏(2Fl&Pf)
    1.メンデルスゾーン:
     Ich wollt,meine Lieb'(わが心の想い) Op.63-1による
    2.メンデルスゾーン:
     Herbstlied(秋の歌) Op.63-4による
    3.ラッハナー:
     Ich liebe dich,weil ich dich lieben muss Op.86-3による
  • ベーム:グランドポロネーズ(Fl&Pf)
  • ブリッチャルディ:「風」Op.112(Fl&Pf)
  • ブリッチャルディ:二重奏による「ヴェニスの謝肉祭」(2Fl&Pf)
アンコールには、ピアノの近藤さんがアレンジした「たなばた-ジムノペティ風」”ささのはさらさら〜”の、あれです。まさにエリック・サティのジムノペティを思わせるイントロに続いて七夕のメロディが始まります。最初の練習ではおかしくて思わず笑ってしまいましたが、本番では「おしゃれ!」「美しくて素敵」との評判を頂き、アレンジャーの近藤さんはご満悦でした。

ベームとブリッチャルディはフルートの発明・改良した業績が有名ですが、当時は名人芸を披露するフルート奏者・作曲家としても活躍しました。同様なフルーティストとして、フュルステナウ、トゥルー、アルテ(教則本で有名ですね)らが活躍しており、彼らは人気のオペラナンバーや各国の民謡を題材にファンタジーや華麗な変奏曲を作曲し、それらの曲を携えてヨーロッパ各国を演奏旅行に訪れたのでした。

名人芸というと何だか内容の伴わないもののように思われがちですが、それは偏見であり、どの曲も多彩な音色や「歌」を要求される立派な曲です。同時代の有名な作曲家には、ブラームス、シューマン、メンデルスゾーンらがおり、それぞれにピアノニストとして活躍していました。彼らが、ピアノや弦楽器を中心とした器楽のための室内楽を残しているのは皆さんご存知の通りです。当世は、これらの室内楽と、ベームらのヴィルトゥオーゾなフルーティストたちが競う様にして器楽全体を発展させた時代でもあったのです。


当日頂戴したアンケートの一部をご紹介致します。

  • 上坂さんの情熱的なフルートに感動しました。ベームのメンデルスゾーンによる2曲目の二重奏には感動して涙が出そうでした。(30代 主婦)

−−−さすが「無言歌」の作曲者・メンデルスゾーン、歌詞が無くても「うた」がありますね。ベームの編曲も素晴らしい・・・

  • ブリッチャルディの「風」は、本当に風が吹いているよう。知らない曲ばかりでしたが、とてもテクニックのいる難しい曲なのに難なく吹いているのが不思議でした。(主婦)

−−−難なく吹いているように聞こえたなら成功ですね!でも本当は必死です(^^;;; ・・・

  • 二重奏による「ヴェニスの謝肉祭」が良かったです。2人の作曲者についてのお話しとても面白く興味が持てました。(50代 会社員)

−−−話しは今でこそ馴れましたが、最初の頃は演奏よりも緊張しました・・・

貴重なご意見ありがとうございました。

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−「フルート三昧」後記Vol.15−'98.8/2(Sun.)  [ プログラム詳細 ]

<師弟の饗宴>

 本日の三昧のタイトルは「師弟の饗宴」、プロイセン王国の華麗なる師弟の作品を演奏いたしました。プログラムは、

  • クヴァンツ:トリオソナタ B-dur
  • フリードリヒ大王:ソナタ No.11 d-moll
  • C.P.E.バッハ:ソナタ No.4 G-dur
  • クヴァンツ:2Flのための協奏曲 g-moll
です。C.P.E.バッハとは、今日大バッハと呼ばれるヨハン・セバスティアン・バッハの二男、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハのことです。当時バッハと言えばエマヌエルのことで、父セバスティアンは無名のオルガニストでした。

 フリードリヒ大王は音楽に理解がありプロイセンの音楽界を大いににぎわしたのです。大王自身はフルートを演奏しましたが、当時有名なフルーティストとして名を馳せていたクヴァンツは大王が王子の頃からのフルートの先生で、王位に即位と同時に宮廷音楽家として招かれました。そして、大王のフルートの先生として、また大王のために多くのフルート作品を残しました。大王の作とされるフルートソナタも、クヴァンツの手がかなり入っているようです。

 クヴァンツは鍛冶屋の子として生まれ幼少時に父を亡くし相当苦労があったようです。しかし、その社交性によって争いごとは起こらず、誰からも愛され、大王からも大変気に入られていたようです。宮廷音楽家になれたのも、才能だけでなくそんな人柄も一役買っていたのでしょう。その割には名著「フルート奏法試論」に辛辣な意見が述べられていますが。

 大王は毎夜のごとく、王侯貴族や家臣、著名な音楽家を集めては演奏会を開きました。フルートの作品はまだあまり世に存在しなかった時代の話です、クヴァンツや自作の初演がかなりの比重を占めていたことでしょう。すなわち世界初演ですね。しかし、悲しいかな大王はアマチュア、間違えることだってあるでしょうし、時には曲の途中で止まってしまうことも・・・そんな時すかさず「ブラヴォー」と声をかけて大王のミスをカバーするのもクヴァンツの役目だったのかも知れません。それほど彼の生活は大王に密着していたのですね。

 演奏会で伴奏を務めたのはエマヌエルです。彼はクヴァンツほど大王の機嫌をとる必要もなく、創作活動は自由に行っていたようです。彼のソナタは明らかにバロックから古典への移行を示しています。伴奏もチェンバロではなくピアノではないか、と思わせるフシがある。当時、ピアノの初期のものはありましたからきっと自分で弾いてみたに違いありません。

 同じ時代、それも同じ場所で活躍した3人の作品ですが、趣旨や作風の異なる作品を比較演奏できた面白い演奏会でした。


当日頂戴したアンケートの一部をご紹介致します。

  • 自分自身もフルートを習っているので、プロの演奏を聴くことで大変刺激になりました。お話しは、当時のイメージが臨場感に溢れていた。(50代 男性)

−−−我々の演奏が皆さんのフルートの上達へ寄与出来れば幸せです・・・

  • 和気あいあいとしていて、大変楽しく素晴らしい演奏会でした。(30代 女性)

−−−今日は皆さん反応が良かったですね。お話もノッてしまい時間の経つのも忘れ・・・

  • ピアノをやっています。アンコールのサリエリも楽しかったです。(10代 学生)

−−−サリエリも宮廷音楽家。楽しく華やかな作風は王様も喜んだ?・・・

貴重なご意見ありがとうございました。

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−「フルート三昧」後記Vol.16−'98.10/25(Sun.)  [ プログラム詳細 ]

<管楽の世界>

 本日の三昧のタイトルは「管楽の世界」、クラリネットとのアンサンブルを楽しみました。プログラムは以下の通りです。

  • ジュナン:グランドデュオ・コンチェルタント Op.51(Fl,Cla&Pf)
  • ストラヴィンスキー:3つの小品(Cla.solo)
  • マラン=マレー:スペインのラ・フォリア(Fl.solo)
  • ダンツィ:FlとClaのための二重協奏曲 変ロ長調(Fl,Cla&Pf)
  • ショスタコヴィッチ:ワルツ(アンコール、Fl,Cla&Pf)
 実はこのプログラム、2日前に開催されたミニヨンでのサロンコンサートと同じプログラムです。決して手を抜いたわけではなく、両方の演奏会で初めてのクラリネットとの共演が、お客様も会場も違う雰囲気の中、演奏がどういう結果になるかという思いがあったのです。

 サロンコンサートの会場よりは、こちらの会場の方が広く多少残響も増えます(それでも超デッドですが・・・)。そのため2曲のデュオ・コンチェルトは幾分大きな音楽で演奏できましたし、フルート、クラレネット各々の無伴奏ソロも会場が広い分こちらの方が演奏しやすかったのは事実です。やはり、会場も楽器の一部なんですね。


当日頂戴したアンケートの一部をご紹介致します。

  • 中学2年の娘が部活でクラリネットを吹いていますので一緒に来ましたが、大変満足しました。全て印象に残りました。(50代 男性)

−−−ありがとうございます。吹奏楽のクラリネットは花形ですね・・・

  • フルートをやっています。フルート、クラリネット共に息の音が少し気になりましたが、演奏は素晴らしかったです。僕もあれだけ吹けたらなあ・・・(10代 男性)

−−−狭い会場では息の音はどうしても聞こえてしまいますね、フルート頑張って下さい!・・・

  • アンコールのワルツが楽しかったです。(10代 女性)

−−−ショスタコヴィッチもあんなに楽しい曲があるんですよ、難しい曲ばかりではありません・・・

貴重なご意見ありがとうございました。

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−「フルート三昧」後記Vol.17−'98.11/29(Sun.)  [ プログラム詳細 ]

<バッハの息子達 〜フリーデマン〜>

 今回はバッハの息子達、特にフリーデマンに焦点を当てました。プログラムは以下の通りです。

  • ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ
    (1710.11.22ヴァイマール-1784.7.7ベルリン)
      トリオソナタ第1番 二長調
      トリオソナタ第3番 イ短調

  • ヨハン・クリスティアン・バッハ
    (1735.9.5ライプチヒ-1782.1.1ロンドン)
      フルート協奏曲ニ長調

  • ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ
      トリオソナタ第2番 ニ長調

  • (アンコール)
    お月さま(近藤盟子 編曲)
 フリーデマンは長男、クリスティアンは末っ子です。父親のセバスティアンは、どこの親もそうするように長男であるフリーデマンに多大な期待を寄せ、熱心に教育したようですが、当のフリーデマンはどこ吹く風、音楽家にはなりましたが父親の期待には背いてしまったようです。放蕩息子だったのですね。それに比べて次男のエマヌエルは自力で出世し親孝行でした。父親をフリードリヒ大王に接見させる様働きかけ実現しました(その時感謝のしるしとして大王に捧げられたのが「音楽の捧げ物」です)。

 クリスティアンは15歳の時に父・セバスティアンが無くなりましたので、フリーデマンに連れられベルリンへ行きエマヌエルに音楽の手ほどきを受けました(弟の面倒を長男が次男に押しつけたのかもしれません)。オペラに目覚めたクリスティアンはイタリアへ行きます。そこでは、ミラノの大聖堂のオルガニストを務めたりしましたが、教会音楽よりオペラへの関心が勝りロンドンへ移り大成功をおさめます。幼少時のモーツァルトとも出会い、少なからぬ音楽的影響を与えたようです。

 アンコールは近藤さん得意のアレンジです。「でーたー、でーたー、月がー」というやつ。いつもながら楽しいアレンジで、お客様にも大変喜んでいただけました。


当日頂戴したアンケートの一部をご紹介致します。

  • フリーデマンの曲は、所々セバスティアンの曲に似ていると感じられました。クリスティアンの曲は、バッハの息子と言うより、モーツァルトのお兄さんという感じがしました。(30代 主婦)

−−−クリスティアンへの感想、鋭いですね。仰るとおり、音楽的にモーツァルトのお兄さんなのです・・・

  • フルートのトリオは初めて聴きましたが、息がぴったりで美しかった。2人とも力を抜いて自然に音や音楽が出ているところに、表現の難しさを感じ、さすが、と思いました。(20代 主婦)

−−−またまた鋭いご意見、ありがとうございます。今日の演奏は成功、ということですね!・・・

  • 大変満足しました。クリスティアンの協奏曲も良かったですが、アンコール、楽しいですね!(60代 男性)

−−−ありがとうございます。近藤さんも益々張り切っているようです・・・

貴重なご意見ありがとうございました。

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