上 坂 学・室内楽シリーズ 演奏会後記


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Vol.27:トリオの楽しみ・2−1997.4/18(Fri.)

Vol.28:上坂 学・フルートリサイタル '98 −1998.2/13(Fri.)


< Vol.27 / トリオの楽しみ・2 >
1997.4/18(Fri.)

出 演:Fl.上坂 学  Vln.村上 和邦(NHK交響楽団)  Vlc.茂木 新緑(NHK交響楽団)

[プログラム詳細]  [コラムVol.11]

 当室内楽シリーズは、今回Vol.27より国分寺市立いずみホール(東京)に会場を移しました。今までの150席のホールから370席のホールへと大変身です。室内楽シリーズ開催11年目に突入です。この会場は音響がとても良く、自分の出した音が跳ね返って聞こえてきます。良いホールとはそうしたものですが、ホールも楽器の一部であると言えるでしょう。

 共演のお二人も、とてもエキサイティングかつエレガントな演奏をして下さり、私もとても気持ちよく演奏できました。そのせいでしょうか”自分の音に陶酔していましたね”とか”とても気持ち良さそうに演奏しているので、とてもリラックスして楽しめました”とのご感想を頂戴致しました。はい、勿論楽しかったです。我々演奏者が気持ちよく楽しく演奏できなければ、聴衆の皆様が楽しくなる訳ありませんものね。でも、結構ドキドキだったのですよ。

 ただ、前回までの小さいホールでの室内楽シリーズに慣れているお客様からは、とても近くに奏者の存在や息遣いを感じながらの鑑賞も捨てがたい、とのご意見を頂戴致しました。今後共創意工夫し、より良い室内楽シリーズにしていきたいと思っております。


 今まではマイク無しの”肉声”でお話しをしていましたが、370席となるとそうはいきません、マイクを使わせて頂きました。演奏曲目にまつわる話しから練習時の裏話までしてしまう、という当シリーズのスタイルを継承致しました。このスタイル、最近では小さい会場では大分オーソドックスなスタイルになってきましたが、中ホール以上の会場ではまだ馴染みが少ないのか、”話しは不要”というご意見を頂戴致しました。うぅ〜ん、考えてしまいますね。個人的には話すのが好きです、はい。



 打ち上げにて。ゲストの茂木さんもご機嫌です。私と対照的に静かなお人柄ですが、お酒が入れば別、ちょっと多弁になります。演奏会の成功をみんなで祝い大いに盛り上がります。後援して下さる皆様やクライスのメンバーと過ごすこの一時は私の幸せの一つ、感謝の気持ちでいっぱいです。

 掲載しました写真は、クライスのメンバーの折居さんの撮影によるものです。氏はギターを長年やっておりましたが、今は声楽に精力をつぎ込んでいます。写真撮影は趣味ですが、知り合いの発表会の撮影からケーキ屋さんのメニューの撮影までこなします。登山が好きで、その時高山植物を撮影する為に写真を始めたと伺いました。山、植物、声楽、ケーキに興味のある方、メールを出してみては如何?

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< Vol.28 / 上坂 学・フルートリサイタル '98 >
1998.2/13(Fri.)

出 演:Fl.上坂 学  Pf.近藤 盟子

[プログラム詳細]  [コラムVol.12]

 このシリーズの名前通り普段は合奏中心の室内楽ですが、今回は当シリーズとして初めてリサイタル形式の演奏会となりました。普通、気のあったメンバーとの合奏は気楽でソロは逆に緊張するものですが、当日の私はいつもにもまして気分も晴れ晴れ、フルートを演奏していて楽しくて仕方ありません。使い始めてようやく1年半になろうとする14Kの楽器も良く鳴りだして絶好調です。リラックスしすぎて楽譜を袖に忘れて舞台に登場してしまったのはご愛敬とお許し下さい。
 プログラムは、ムーケ「パンの笛」、ジョリベ「リノスの歌」、シューマン「幻想小曲集」、プロコフィエフ「フルートソナタ」でどれもテクニカルな難曲。普通のクラシックファンには馴染みが薄いかも知れませんが、フルート愛好家の中では超ポピュラーな名曲揃い。数々の名演が世の中にあり、そう言う意味では緊張しますが・・・・・。




 1曲目に演奏したムーケの作品は、オーケストラ伴奏がオリジナルです。そこを「協奏曲」と言わずに「ソナタ」と言っているところが面白い。広義でのソナタとは、ソナタ形式で書かれている曲、ですので協奏曲も例外ではないのですが。ピアノ伴奏で演奏しても曲の良さを失わない、いや、むしろピアノの方が曲の性格にあっているとさえ思います。ショパンの「アンダンテスピアナートと華麗なるポロネーズ」の様に(これはピアノ協奏曲だが、ピアノ単独でもよく演奏される)。ショパンと言えば、有名なホ短調の協奏曲をVln,Vla,Vlc,Cbとピアノ、と言う五重奏の編成で演奏されているのを聴いたことがありますが、オリジナルより良いとさえ思いました。
 このように、必ずしもオリジナルがよいとは思えない曲に時折出会います。3曲目に演奏したシューマンもオリジナルはクラリネットとピアノです。フルートの他ヴァイオリンやチェロでも演奏されますが、感情豊かな表現や燃えるような熱情が、フルートや弦楽器での演奏にあっているように思えます。シューマンはオーボエのために「3つのロマンス」という美しい曲を残していて、これはクラリネット又はヴァイオリンで演奏しても良い、と指定されており、事情がちょうど逆であるのが面白いですね。「3つのロマンス」はフルートでもよく演奏されます。しかし、フルートのために作曲された曲がないのはとても残念。どうしてフルートの曲作らなかったの!!と、ロマン派の作曲家達には不満たらたらです。

 2曲目に演奏したジョリベはオリジナルがFl,Vln,Vla,Vlc,Harpという編成の五重奏です。これはオリジナルの方が素敵。ただし、この曲の演奏を引き受けてくれる奏者がなかなかいない、超難曲だからです。ピアノとのアンサンブルだって難しいのに、五重奏になったらものすごく大変、そして超テクニカル。だけれども美しいんですね。無神論者の私が神の存在を信じられるほどに。この曲はいわゆる”現代曲”ですが、構成は古典的で理解しやすい。この手の曲に不慣れなお客様からも好意的なご意見も。反対に迫力不足とのご意見も頂きましたが、この美しい曲をきわめてエレガントに演奏したかったのです。

 最後に演奏したプロコフィエフのソナタは正真正銘のオリジナルです。良く演奏される曲なので私はむしろ避けてきましたが、この様な人気のある曲をあまり演奏しないのも考え物、大好きな曲でもあるし、とプログラムに取り入れました。この曲も20世紀の作品ですが、無意味な前衛的要素がない。古典やロマン派のように感情に浸れます。勿論演奏しながらですよ!この曲を聴いた往年の大ヴァイオリニスト、ダヴィット・オイストラフがヴァイオリンへの編曲を依頼し有名になりました。よくヴァイオリン・ソナタが原曲だと勘違いしている方がいますが、フルート・ソナタがオリジナルですよ
 その逆の話があります。オイストラフはハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲の初演をしていますが、この曲を聴いた名フルート奏者・ランバルがハチャトゥリアンにフルート協奏曲の作曲依頼をしました。ハチャトゥリアンはランバルに、ヴァイオリン協奏曲をフルートで演奏することを勧め、今ではフルート協奏曲としてもとても重要な作品になっています。

 アンコールは、フォーレ「シシリアーノ」、ゴセック「タンブーラン」、成田為三「浜辺の歌」の3曲を演奏しました。



 毎度お馴染み、打ち上げ風景です。冷えたウーロン茶で乾杯、心地よくのどを潤します。え?ビールじゃ無いのかって?ダイエットかって?断じて違います。私はお酒が苦手なのです。
 当日頂いたアンケートを肴にみんなではしゃぎまくりました。良いことを書いてあるアンケートには「ええーー、すぅごぉぉぉい」という無礼きわまる反応から、シビアなご意見には「なんでぇなんでぇ」というウップン晴らしまで様々。この日ばかりは無礼講とお許し下さい、どんなご意見でも厳粛に受け止めています。次の日もまた次の日も丁寧に読み返しました。

当日頂戴したアンケートの一部をご紹介致します。

  • 演目がヴァリエーションに富み、フルートが叙情的な物から力強さまで表現できるのだと改めて感心しました。私はヴァイオリンが好きですが、フルートも好きになりました。(50代 主婦)

−−−ありがとうございます。フルートも広範囲なレパートリーがありますので今後もお楽しみに!・・・

  • 本日は素晴らしい音楽をありがとうございました。すっかりシューマンのファンになりました。次回も楽しみにしております。(20代 学生)

−−−私もこの曲で更にシューマンが好きになりました。次回は打楽器との珍しいアンサンブルをお届けいたします・・・

  • 私もフルートを習っていますが、やはりプロはさすがだな、と感激。フルートの音色、特に低音とpの音が素敵でした。(30代 会社員)

−−−参考になりましたか?プロもアマチュアも同じ、場数を経験することが上達の秘訣です・・・

貴重なご意見ありがとうございました。

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