クライス・フルート・ソロイスツ 演奏会後記6
Vol.11〜Vol.16 Vol.17〜Vol.22 Vol.23〜Vol.28 Vol.29〜Vol.34 Vol.35〜Vol.40 [ Vol.41〜Vol.46 ] Vol.47〜Vol.52 Vol.53〜Vol.60
Vol.42:フルート名曲集・2(1999.12/18)
Vol.43:ヴィルトゥオーゾ・トリオ(2000.1/22)
Vol.44:大作曲家の横顔・2(2000.2/19)
Vol.45:フルート名曲集・3(2000.3/18)
Vol.46:王宮の響き・2(2000.4/15)
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-ソロイスツ後記Vol.41-'99.11/13
( プログラム詳細 )
< バロックの雄・4 〜アルカンジェロ・コレッリ〜 >
今回はイタリアバロックの巨匠、コレッリ(1653.3.2イタリア・フジニャーノ〜1713.1.8ローマ)の特集です。プログラムは、
アンコールは、お月様(隠しテーマ:うさぎ・月の砂漠、近藤盟子 編曲)でした。このアンコール、大変凝ったアレンジで、今回の演奏曲目中一番技術的に困難な曲でした。なんか、アンコールというイメージと違うなあ。。。。。。。。。。
名ヴァイオリニストでもあったコレッリはたくさんのヴァイオリンソナタを残しており、フルートでもしばしば演奏されます。今回のプログラムも全てヴァイオリンまたは弦楽合奏のためのものです。作品5の3のソナタは18世紀中頃フランスで編曲出版されたもの、また、有名なクリスマス協奏曲は1725年頃独奏ヴァイオリンを2本のリコーダー用に編曲出版されたものです。このように、コレッリの没した後にしばしばリコーダーやフルート用に編曲されています。
「クリスマス協奏曲」に代表される”合奏協奏曲”の創始者の一人として、コレッリは大変重要な人物です。合奏協奏曲とは、”コンチェルティーノ”と呼ばれる独奏楽器群と、”コンチェルトグロッソ”と呼ばれるコンチェルティーノより大きな編成の合奏で、ある時はコンチェルティーノとコンチェルトグロッソ全員で、またある時はコンチェルティーノだけによる独奏として演奏されます。それぞれに通奏低音(通常はチェンバロとチェロ)が付きます。
当演奏会では、当然フルートとピアノによる演奏でしたが、ヴァイオリンの曲を管楽器で演奏する難しさを改めて感じました。第一、ブレスが大変です。バロックの器楽曲は往々にして休符が少ない上、コレッリの曲はヴァイオリン特有の跳躍が随所にちりばめられていますので技術的にも大変困難です。弦楽器の曲を管楽器で演奏する場合、お手本となる弦楽器の演奏を目指しても意味がありません。オリジナルの楽器で演奏した方が良いに決まっています。ここでは、これらコレッリの曲を”フルートの曲”として勉強し、練習する必要がありました。困難はありましたが、コレッリの音楽をお伝えすることが出来たと思います。「クリスマス協奏曲」は、コンチェルティーノの部分だけを取り出しての演奏となったわけですが、そこは古楽器よりも表現力(イントネーションという意味で)のあるモダーンなフルート、意外とおもしろい演奏になったと思います。実際、この名曲の演奏は楽しかったですよ。
−−−ええ、アンコール、大変でした(笑)・・・
−−−そう言って下さるとやった甲斐がありました・・・
−−−ありがとうございます。バロックは原点という感じがしますね・・・
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-ソロイスツ後記Vol.42-'99.12/18
( プログラム詳細 )
< フルート名曲集・2 >
今回は、とてもポピュラーな曲から題名は知らなくともとても親しみやすいフルートの名曲を集めて演奏いたしました。どの曲も有名か初めて聴いても楽しめる曲ばかりでしたが、集中力は大変に要求されます。1曲1曲独立しており各々に個性が強く、それぞれに音楽づくりを求められるからですね。大曲でも、ソナタなどとしてまとまっていた方が演奏しやすい場合があるほどです。
ドップラーのデュエットは、アメリカ国歌やアメリカの民謡などがちりばめられていて楽しく痛快ですが、クーラウの”気の良さ”にはかなわないと思います。美しく程々にテクニックも披露出来、難しいことを考えずに聴衆も奏者も音楽を楽しめます。”ベスト・オブ・デュエット”と呼ぶにふさわしい作品だと思います。
当夜は、ホームページの案内を見てお越しくださった方の割合も多く、いつもとは少し違った緊張感のある雰囲気が伝わってきました。こういう緊張感って、良いものですねぇー。宮武さんのピッコロ・ソロも好評でした。
アンコールは、ホワイト・クリスマス(近藤盟子 編曲)でした。
−−−ありがとうございます。フルートが2本に増えるだけで音楽の世界がとても広がりますね・・・
−−−大きな演奏会では、ポピュラーな曲は軽んじられているのかもしれませんね。易しそうに聞こえて、実は難しかったりすることも。。。・・・
−−−うーーん、ミニヨン発表会なんて出来そうですね。ワイン香りに包まれて。。。いいなあ、これ・・・
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-ソロイスツ後記Vol.43-2000.1/22(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< ヴィルトゥオーゾ・トリオ > 共 演:Fl.遠藤 尚子、Fl.宮武 花野子
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
アンコールは、「かわいいかくれんぼ」、「しょうじょう寺のたぬきばやし」でした。
今回のプログラミングはドイツとフランスのバトルでしたが、ある大失敗をしてしまいました。演奏時間が長すぎたのです。夜7時に始まって終演は9時半を過ぎていましたから、これは長すぎます。時々やってしまうのですよねえ、とくにサロンコンサートのような小演奏会では。。。お越し下さったお客様に 十分 フルートを堪能していただこう、という気持ちの現れなのですが、やりすぎてしまいましたね。プログラムも、1曲1曲が重たかったので聴く方も大変だったでしょう。
どの曲も「作曲もするヴィルトゥオーゾ」でしたので、これでもか、というぐらいにテクニックが披露されます。ほとんどが自身の演奏会用でしたので、得意なテクニックや歌い回しが表現されています。構成が濃かったり、同じパターンのリフレインなど、作曲家の性格が窺えて興味深いですね。その中でも、ドイツ組のクンマーのトリオは秀逸。フランス組に劣らず流麗で品がある。作品としてのまとまりも1番だったのではないでしょうか。
一方、フランス組で軍配が上がったのはトゥルーの作品。凝りに凝ったテクニックを披露させているのですが美しい。フルート界の老舗といった感があります。ただ、3楽章が長かった。全体の半分近くの時間が費やされます。バランスが、、、惜しいですねえ。
当夜は4曲から成るプログラムでしたが、これからは 勇気を振り絞って 曲数を減らすことに致しましょう(笑)。最後に演奏したワルキエのトリオは、壮大な構成で一管楽器の作品とは思えない尊大さを持っています。バランスの取れたプログラミングで演奏すれば、一番評判の高かった作品かも知れなかったのです。いずれまた取り上げてみたいと思っています。
演奏時間が長くなってしまいましたのでアンコールをどうしようかと正直迷いましたが、勇気を振り絞って(笑) 2曲演奏いたしました。重たい曲の後に、この可愛いアレンジはピッタリ。皆さん最後までお聴き下さって本当にありがとうございました。
−−−う、う、、、(感涙)勇気づけられるお言葉をありがとうございます・・・
−−−そういって頂けて嬉しいです。アンコールの選曲は案外難しいのですよ・・・
−−−お、通ですね!アルトやピッコロの入った曲もまた取り上げますのでお楽しみに!・・・
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-ソロイスツ後記Vol.44-2000.2/19(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< 大作曲家の横顔・2 > 出 演:Fl.上坂 学、Fl.宮武 花野子
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
アンコールは、モーツァルトの二重奏より「ロンド」(原曲:ヴァイオリン・ソナタ KV.454)でした。
今回は、オッフェンバックの二重奏でアルト・フルートのデュオという新しい試みをしてみました。この二重奏は、コンサート・フルート(いわゆる普通のフルート)のために編曲された楽譜が書かれていますが、本来は2本のチェロのための曲ですのでアルト・フルートの方が面白いのでは?という発想です。曲は、サブ・タイトルに「二重奏曲の演奏法」とあるように、たぶん初心者のための学習目的があったと思われ簡潔な曲想になっています。主旋律と伴奏の役割分担がはっきりしていたり、音程のための響きがあったりと、聴いていて分かりやすい曲だったと思います。めったに演奏されないアルト・フルートでの二重奏というのも意義があったでしょう。
もう1曲弦楽器からのアレンジで、バルトークの二重奏を演奏いたしました。この作品は「2Vlnのための44の二重奏曲 Sz.98」の中から18曲を選んでフルートの二重奏曲として出版されているものを使用いたしました。この曲もオッフェンバックの作品と同様、初心者も演奏の対象にあったと思われます。しかし内容は凝っていて、タイトルにあるとおり各国各地の民謡の歌や踊り素材にした斬新な響き、強烈なリズムが特徴です。1stと2ndの「調」が違ったり(方や♭2つ、方や♯1つなど)、小節ごとに変化する拍子などが演奏者はもとより聞き手をも飽きさせません。調号も通常と違い、例えば♭2つがシとレ(普通はシとミ)についていて、しかもたった3つの音しか使わないで演奏するようになっています。どの曲も、ハンガリーのというよりバルトークの香りが色濃く出ていて、再演したいと思わせる曲の1つです。
ベートーヴェンの二重奏は、ベートーヴェンがこんな可愛い曲も作っていたのか、と思わせる佳作、モーツァルトの名曲は、ピアノの素早く華麗な動きをフルートでどう表現するか、というスリルのある(笑)作品でした。
−−−ありがとうございます!バルトークの作品は、いろいろ工夫のし甲斐があって面白いですね!・・・
−−−フルートは他の楽器の曲も自分のものにしてしまう欲張りな楽器ですね!・・・
−−−ありがとうございます!バルトークは、分かっていても驚かされる楽しさがありました・・・
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-ソロイスツ後記Vol.45-2000.3/18(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< フルート名曲集・3 > 出 演:Fl.上坂 学、Pf.近藤 盟子
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
アンコールは、さくらさくら(隠しテーマ:どじょっこふなっこ、近藤盟子編曲)、バーンスタイン:Tonight でした.
ムーケのソナタは、ギリシャ神話に出てくる「牧神パン」の笛を題材としていま。牧神は、顔は人間でも角をもち、身体は山羊のようでした。「牧神パン」が吹く笛は葦を何本も並べて作られています。当夜演奏した第1楽章は、「パンと羊飼いたち」というタイトルが付いています。牧神パンの大事な役目の1つは、羊を守ることだったのです。
ボルンの作品は大変人気があり、良くリサイタルなどで演奏されます。今回、この作品の作曲者が、今まで信じられてきた「フランソワ・ボルン」ではなく、ベルギー人の「フェルナンド・ル・ボルン」の可能性があるということを知りました。真意の程は分かりません。どちらにせよ素晴らしい作品であることは変わりませんね。
−−−ありがとうございます。休憩中は、このコンサートの楽しみの1つでもあります・・・
−−−曲を聴きながらあるイメージを持つことは良くありますね。演奏する場合も同じです・・・
−−−フォーレは大変人気があり、アマチュアで楽しむのにも最適です。いつか聞かせていただきたいと思います・・・
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-ソロイスツ後記Vol.46-2000.4/15(Sat.)
( シリーズの全プログラム )
< 王宮の響き・2 > 出 演:Fl.上坂 学、Fl.遠藤 尚子
−2本のフルートのための粋な二重奏 作品5-5
−−−−−−−−− Tea Time −−−−−−−−−
アンコールは、モーツァルト:「フィガロの結婚」より”奥方からお呼びのときは” でした.
シェドヴィルはオトテール一族の親戚で、エスプリはシェドヴィル3兄弟の中の次男です。ミュゼット(フランス風バグパイプ)奏者として活躍しました。3男のニコラは、今までヴィヴァルディの作と信じられてきた「忠実なる羊飼い」の真の作曲者です。
オトテールはフランスの管楽器制作者として有名な一族で、ジャック=マルタンはフルート奏者としても活躍しました。最初は、フランスの宮廷のオーボエ奏者として、また後には国王の専属楽団のフルート奏者となりました。演奏家としてだけではなく、「フルート、リコーダー及びオーボエの入門書(1707)」もあらわしています。
フリードリヒ大王はプロイセンが最も栄えたときの国王で、音楽にとても理解があり自らフルートを演奏しました。宮廷音楽家には、大王のフルートの師クヴァンツ、大バッハの次男エマヌエル・バッハやイタリアのスター音楽家など現在でも有名な音楽家達が活躍していました。大王の音楽帖は、音楽三昧の日々の中つれづれに書き留めて置いた無伴奏フルート用の練習曲ですが、多くの大王のフルート作品同様、師であるクヴァンツの手が入っていると思われます。
−−−楽しんでいただけたようで嬉しく思います。また色々とお話しを致しましょう!・・・
−−−いつもありがとうございます。参考になりましたでしょうか・・・
−−−絵画と音楽をドッキングさせた催しを是非実現させたいです・・・
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記録 後記 |
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